富山大学 システム機能形態学研究室 Systems Function and Morphology Lab., University of Toyama

音を認知する神経回路の構造を研究しています。 We study the neuronal circuitry for sensing sounds.

2023-10-01から1ヶ月間の記事一覧

【総論・軟骨・骨】歯の発生

歯は発生時や成人後において、骨とは違う経過を辿るのでしょうか。 という質問がありました。 歯は骨とは違います。これは外胚葉由来(上皮系)のエナメル芽細胞と中胚葉(間葉系)由来の象牙芽細胞が面して発生が起こります。歯が萠出すると、エナメル芽細…

【総論・軟骨・骨】関節軟骨の軟骨細胞

関節軟骨には軟骨膜がない、とすると、関節軟骨の軟骨細胞は最初どのようにつくられるのですか? という質問がありました。 よい質問です。この問題は、まずどのようにして骨ができるか考えるとよいです。まず間葉細胞が集まってきて、軟骨でできた雛形が形…

【総論・軟骨・骨】細胞外マトリックスの分泌

骨芽細胞は細胞外マトリックス(ECM)を分泌してそれに取り込まれると、骨細胞になり、増殖能を失う。とありますが、これは骨細胞になるとECMを分泌できなくなるということですか?また、軟骨の間質成長においても同様に、軟骨芽細胞はECMを分泌するが、ECM…

【総論・結合組織】用語について

結合組織は細胞外マトリックスの1つであるという解釈で大丈夫ですか?また、ワルトンゼリーはHE染色で染まらない部分と線維が細胞とを合わせた名前ですか?それとも染まらない部分だけを指すのでしょうか? という質問がありました。 概念の定義に関する質問…

【総論・結合組織】固定細胞と自由細胞について

Ross組織学(原書第7版)p.174〜175の「定住型細胞」と「遊走型細胞集団」として分けているものと、標準組織学総論(第6版)p.130の「固定細胞」と「自由細胞」として分けているものに多少の違い(特にマクロファージと肥満細胞において)があるのですが、Rossの言…

【総論・結合組織】褐色脂肪の熱産生

褐色脂肪はどのようにして熱を産生しますか。 という質問がありました。 脂肪酸の代謝は主にミトコンドリアで行われます。普通の脂肪細胞では、生じたエネルギーをATPに変換し、この効率が高いために、熱はあまり発生しません。一方、褐色脂肪のミトコン…

【総論・結合組織】コラーゲンでお肌ツルツル!?

美容品に含まれるコラーゲンは、本当に肌に浸透しているのか気になった。 という質問がありました。 コラーゲンのような高分子が角質層のバリアを通過するようにはあまり思えません。ただ、だから無意味か、というと、そうとも言い切れないような気もします…

【総論・結合組織】形質細胞 vs B細胞

形質細胞では、車軸状の核や紫色によく染まる細胞質が特徴的だと伺いましたが、分化前のB細胞ではこのような特徴は見られないのですか。 という質問がありました。 B細胞が含まれるリンパ球については第5回「血液」で学習しますが、全く見た目が形質細胞とは…

【総論・結合組織】グミのコラーゲン

グミのパッケージにコラーゲンが豊富などと書いてあることがありますが、グミに含まれているコラーゲンはどのような種類のコラーゲンですか? という質問がありました。 面白い質問です。グミとかゼリーとかはゼラチンから作られますが、ゼラチンというのは…

【総論・結合組織】コラーゲンの種類

コラーゲンについて、ⅰ型、ⅲ型といった型の違いは何なのか気になった。 という質問がありました。 コラーゲンはその物性や局在が異なり、異なる遺伝子によってコードされる29種類のものが知られています。例えば細線維性コラーゲン(I,II,III,V,XI)は一番…

【総論・結合組織】膠原病とは

膠原繊維に異常が起こるのが膠原病ですか? という質問がありました。 膠原病とは一つの病名ではなく、結合組織(膠原線維をたくさん含む)に炎症が起こる病気の総称で、自己免疫疾患です。病理像としては、結合組織内に大量の免疫細胞(好中球、肥満細胞、…

【総論・序論】染色法について

染色の名前(ゴモリ・トリクローム染色、鍍銀染色など)は覚えておいたほうが良いのでしょうか。 という質問がありました。 世の中には多数の染色法があり、正直教員もすべて把握しているわけではありません。しかしながら原理とそれによって染めるもの、と…

【総論・序論】同音の用語

柔毛と絨毛の表記は違うものなのでしょうか。 という質問がありました。 意味は一緒なのですが、解剖学用語としては慣例として絨毛を使います。申し訳ありませんが柔毛ではバツとします。(一般に使われる言葉と専門用語を分離する意義があります)同様の例…

【総論・結合組織】なぜ静脈は動脈よりも太いのか

なぜ臍動脈の内腔は小さく、臍静脈の内腔は大きいのでしょうか。 という質問がありました。 身体の多くの場所で、動脈と静脈は伴行しています。そして、多くの場合、動脈に伴行する静脈は動脈よりも太いです。組織学各論で学びますが、静脈と動脈の壁の厚さ…

【総論・結合組織】粘膜固有層の中の線維芽細胞

疎性結合組織の粘膜固有層に線維芽細胞は確認できるのでしょうか。丸い核の遊走細胞と比べて明らかに平たい核が線維芽細胞というように判断をすればよろしいですか。 という質問がありました。 もちろん粘膜固有層の中にも線維芽細胞はいます。HE染色では、…

【総論・結合組織】血管の中身

臍動脈と臍静脈の中身が白く見えるのはなぜですか? という質問がありました。 血管の中には血が入っているはず、なんですが、標本採取時に血が抜けて空っぽになっているのです。これは余談ですが、解剖実習をやってみるとわかりますが、太い動脈は血が抜け…

【総論・結合組織】脂肪滴の空胞の同定

脂肪滴由来の空胞なのか、切片を作る際にできてしまう人工産物なのか見分ける方法があるのか気になりました。 という質問がありました。 良い質問です。空胞が生じるような処理として考えられるのは、固定時の収縮に伴うものですが、収縮の仕方に違いがある…

【総論・上皮組織】体質と太りやすさ

個人の小腸での栄養吸収効率の差などによって、太りにくい、太りやすいなど体質に差がでることはありますか? という質問がありました。 大いにあり得ることです。体質には、遺伝子の多型によるものと、腸内細菌叢によるものが考えられますが、近年腸内細菌…

【総論・上皮組織】プラーク

移行上皮に存在するタンパク質凝集(プラーク)は、歯に形成されるプラークとは別物ですか。 という質問がありました。 はい、別物です。plaqueとは、斑点、とか、板、のような意味で、移行上皮表面のプラークは折りたたまれた板状のタンパク質の塊からその…

【総論・上皮組織】細胞接着とがん

細胞接着装置が取れた上皮細胞がガンになる理由が分からないです。 という質問がありました。 がん化には複数のステップがあります。上皮細胞は秩序だった増殖をするので、正常時には組織構築が保たれています。この秩序だった分裂が失われてしまうとポリー…

【総論・上皮組織】管状腺と胞状腺のちがい

管状腺と複合腺の違いは膨らみとおっしゃっていましたが、どれぐらいの膨らみの違いなのですか。 という質問がありました。 厳密な定義があるわけではありません。で終わると大いに困るでしょうから、例をあげてみます。バーチャルスライドP-3/Hs_scalp_HE01…

【総論・上皮組織】糖タンパク

糖タンパクは糖類からできているのか、それともアミノ酸からできているのか、両方なのか。 という質問がありました。 糖タンパクとは、糖鎖で修飾を受けたタンパク質のことです。翻訳後修飾によって、タンパク質に特定の糖鎖が結合することによって作られま…

【総論・上皮組織】ムチンの放出様式

粘液性細胞において合成されたムチンは細胞質基質に存在しているのでしょうか。 また、ムチンの分泌もメロクリン分泌ですか。 という質問がありました。 ムチンは細胞質内の大型の分泌顆粒の中に蓄えられていて、開口(メロクリン)分泌を行います。

【総論・上皮組織】移行上皮の見分け方

移行上皮かどうかは、差分を見ないと分からないのでしょうか? という質問がありました。 差分、とは尿が溜まっているときと溜まっていないときの比較、という意味でしょうか。そうでなくても移行上皮と重層扁平上皮の区別はそれほど難しくありません。重層…

【総論・上皮組織】tight junction (zona occludence)

tight junctionの訳は閉鎖堤となっていますが、閉鎖堤と密着結合は違いますか。 という質問がありました。 tight junction, zona occludence, 密着結合、タイト結合、閉鎖堤、閉鎖帯、はすべて同じものを指しています。困ったものですね。

【総論・上皮組織】移行上皮は重層上皮?偽重層上皮?

標準組織学では移行上皮も重層上皮に含まれていたのですが、講義では偽重層上皮とあったのでその区別はどうすればよいのか気になりました。 という質問がありました。 確かに標準組織学では移行上皮は重層上皮の項に入れてあります。しかしながら、標準組織…

【総論・上皮組織】人工産物とそうでないものの弁別2

講義において、細胞間の隙間はサンプルを作るときにできた人工的なものと習いました。しかし今回の講義では、細胞間に隙間があることがある、と習いました。この2つの隙間はどのような観点から区別されるのかを教えてください。 という質問がありました。 結…

【総論・上皮組織】分泌腺の形状について

管状腺と胞状腺について、「分泌の盛んさや分泌物の種類による」と仰っていましたが、具体的にどのような対応があるのですか? という質問がありました。 分泌物をよく貯留した細胞は背が高くなりますので、円柱上皮化して胞状腺となります。大唾液腺の終末部…

【総論・上皮組織】パラクリン・オートクリンの意義

オートクリンシグナリングはどのような目的で行われるのか疑問に思いました。自身に放出するのなら細胞内で完結させるのではだめなのだろうかと疑問に思いました。 という質問がありました。 まず、重要なのは、周囲の細胞もそのシグナル分子に対する受容体…

【総論・上皮組織】上皮化成が起こる原因

なぜ子宮頸部において上皮化成が起こるのかの説明をして下さっているときに、メカニカルストレス(mechanical stress)?とおっしゃっていたのですが、具体的にはどのような影響のことをいうのか、気になりました。 という質問がありました。 上皮化成が起こる…