富山大学 システム機能形態学研究室 Systems Function and Morphology Lab., University of Toyama

音を認知する神経回路の構造を研究しています。 We study the neuronal circuitry for sensing sounds.

【総論・上皮組織】細胞接着とがん

細胞接着装置が取れた上皮細胞がガンになる理由が分からないです。

という質問がありました。

がん化には複数のステップがあります。上皮細胞は秩序だった増殖をするので、正常時には組織構築が保たれています。この秩序だった分裂が失われてしまうとポリープのような上皮の盛り上がりのような形になります。しかし、お互いの細胞が細胞接着によって位置が保たれていて、他の場所に移ることがないのでので、この状態はがんとは言わず、良性腫瘍という段階です。
次に、細胞接着の能力を失うと、この細胞は好きな場所で分裂を繰り返すことができるようになります。この際、基底膜を溶かす酵素を発現していることが多いようです。
つまり、基底膜を超えて移動、分裂をする状態であり、この状態の細胞をがん細胞というわけです。