(アセチルコリン陽性線維を染色した骨格筋標本で)α運動ニューロンには明白なシナプスがあって、コリン作動性(交感神経節後)ニューロンには明白なシナプスがないということが分かるとおっしゃっていましたが、それは写真のどこからわかるのでしょうか?シナプスは写真のどこにあるのでしょうか?そしてシナプスがないというのは筋肉にめり込んで、粒状の構造がコリン作動性交感神経節後線維にはみられないということなのでしょうか?
という質問がありました。
実習標本ではアセチルコリン合成酵素を有する神経を染めているだけなので、軸索や神経終末を染めていますが、シナプス後部は染まっていないので、シナプスは見えません。したがって「写真からはわかりません」。
この標本からわかるのは、軸索や神経終末の形態がα運動ニューロンと交感神経節後ニューロンで全く異なることです。α運動ニューロンは標的に達するまで神経終末を作らず、枝分かれした1本の神経線維が1本の骨格筋線維に明確な神経終末(神経筋接合部)を接触させています。一方、交感神経節後線維は細動脈と思しき構造の周りを取り巻きながら、多数の神経終末を形成しています。平滑筋は見えていませんが、大量に存在するはずで、α運動ニューロンで見られたような一対一対応は存在しません。
電子顕微鏡で観察すると、α運動ニューロンは骨格筋線維に対して明確なシナプスを形成しており、1本の筋線維は1本のα運動ニューロンにのみ支配されることがわかる一方、交感神経節後線維と平滑筋の間は100nm以上離れていて、明確なシナプスは観察されません。アセチルコリンはいたるところにある神経終末から拡散して平滑筋に届くため、一対一対応は存在しません。