富山大学 システム機能形態学研究室 Systems Function and Morphology Lab., University of Toyama

音を認知する神経回路の構造を研究しています。 We study the neuronal circuitry for sensing sounds.

【総論・神経組織】錐体細胞の形態と機能

錐体細胞の形態について、脳表面や、錐体細胞の上下に向かって樹状突起が伸びていて、そして深部に向かって軸索が伸びていますが、これは連合野で処理した情報を深部の、例えば視床下部とかに伝えようとしているのでしょうか?

という質問がありました。

大脳皮質には層構造があり、層ごとに異なる脳領域からの入力が入ります。錐体細胞は層を貫く樹状突起(頂樹状突起apical dendrite)を有しており、異なる情報を統合する働きがあります。例として、本学の実習で用いる標本では聴覚野第5層の錐体細胞が染まっています。第1層には連合系視床核などからの注意などにかかわる情報が、第2,3層には連合野などの様々な大脳皮質からの情報が、第4層には聴覚系視床核からの音そのものに関わる情報が入ってきます。そして、この錐体細胞は脳幹に軸索を送るタイプの細胞ですので、中脳にある下丘という聴覚系神経核に出力しており、おそらくは聴覚的注意に関する信号を送っているのだと考えられます。