講義動画で「予定よりも収縮していないのをモニターしているのが筋紡錘」と言っていましたが、どういうことですか?
という質問がありました。
筋紡錘の赤道部は筋原線維がないので、錘内筋線維が収縮した時、赤道部だけが「やわらかい」状態で、ほかの部位や錘外筋は「固く」なっているとイメージしてください。筋が予定通り収縮できた場合と、障害物か何かに引っかかって予定よりも収縮できていない状態を考えてみると、赤道部以外の部位は「固く」なっていて同じような状態であるのに対し、「やわらかい」赤道部は予定よりも収縮できていない場合は相対的に長くなると考えられます。このため、赤道部に絡みついている神経線維が変形して、「予定よりも収縮していない」と中枢神経に情報を伝えることになります。
「予定よりも収縮していない」という情報を伝える感覚線維は脊髄に入って同じ錘外筋を支配するα運動ニューロン(と錘内筋を支配するγ運動ニューロン)に直接興奮性シナプスを形成しています。これによって筋はより強く収縮することとなります。
膝蓋腱、つまり大腿四頭筋の停止腱を叩いて無理やり大腿四頭筋を引き伸ばすことで、錘内筋に分布する感覚線維を刺激し、その結果大腿四頭筋を支配するα運動ニューロンを活性化させて大腿四頭筋の収縮が引き起こされるのが膝蓋腱反射のメカニズムです。末梢神経の障害、例えば脚気や神経梅毒のようなものがあると、この反射回路が障害されて反射が減弱します。