富山大学 システム機能形態学研究室 Systems Function and Morphology Lab., University of Toyama

音を認知する神経回路の構造を研究しています。 We study the neuronal circuitry for sensing sounds.

【総論・神経組織】シナプス電位が減衰する理由

EPSPやIPSPはシナプスから離れるにつれて減衰するとありましたが、なぜでしょうか?

という質問がありました。

細胞膜には開きっぱなしのイオンチャネル(漏洩チャネル)があり抵抗として働き、また脂質二重層コンデンサーとして働くので、細胞膜内外で抵抗とコンデンサーが並列に配置されたRC回路(物理学で習いましたか?)を形成しているため、ある場所で発生したシナプス電位は時間とともに減衰します。
では離れたところではどうなっているのか、というと、細胞膜のいたるところでこのRC回路が並んでいるわけです。樹状突起をホースのようなものであると考えると、このホースは壁に柔軟性があって圧変化を吸収し(=コンデンサー)、しかも穴だらけ(漏洩チャネル=抵抗)なのです。ホースに一時的に水流を加える(=シナプス電位)とホースに脈流が生じますが、その勢いは距離とともに衰えることが容易に想像されます。