富山大学 システム機能形態学研究室 Systems Function and Morphology Lab., University of Toyama

音を認知する神経回路の構造を研究しています。 We study the neuronal circuitry for sensing sounds.

【総論・筋組織】T細管からL細管へのシグナルの伝達の仕組みについて

T細管の説明では、膜電位を滑面小胞体に伝えるとありましたが、具体的に何を介して伝えるのですか。電気的に伝えるだけだったら、管状である必要はなくて、紐状でも良いのでは?と思いました。

という質問がありました。

まず、もしT細管のような細胞膜の陥入がなかったら、興奮の伝播は細胞内メッセンジャーの拡散によってなされる必要があり、骨格筋のような大きな細胞では長い時間がかかってしまい(50um進むのに1秒位かかってしまう)、素早い運動ができないという問題があります。では、なぜ紐(電線)ではだめなのか、ということですが、神経や筋の興奮(活動電位)というものは細胞膜上のイオンチャネルの開閉によって作られているので興奮を伝えるためには細胞膜を延ばしていかなければならず、必然的に管になるのです。
最後に、どうやってT細管からL細管(滑面小胞体)にシグナルが伝えられるか、です。T細管に電位センサー(ジヒドロピリジン受容体/L型電位依存性Ca2+チャネル)があり、それが小胞体上のCa2+放出チャネル(リアノジン受容体)と結合しており、細胞膜の電位変化を直接小胞体に伝えることを可能にしています。