富山大学 システム機能形態学研究室 Systems Function and Morphology Lab., University of Toyama

音を認知する神経回路の構造を研究しています。 We study the neuronal circuitry for sensing sounds.

【総論・神経組織】脳周辺の出血について

クモ膜下出血以外に、硬膜下血腫というのも聞いたことがありますが、それはどこの血管が破れたものか気になりました。

という質問がありました。

脳の周辺には血管が豊富にあるわけで、それらが切れると出血や血腫ができるわけですが、起こる部位によって症状や重症度に大きな違いがあります。
脳内で出血が起こるのが脳内出血で、出血部位の神経細胞や白質にダメージが起こります。
くも膜下腔で出血が起こるのがクモ膜下出血で、出血後2週間ほどで変性した血液がくも膜下腔を走る動脈の平滑筋に対して強力に収縮作用を起こし、しばしば致命的な脳虚血を引き起こすことで恐れられています。
くも膜と硬膜の間で出血が起こり、固まるものが硬膜下血腫です。じわじわと血腫が大きくなっていくとだんだん脳機能に障害が起きてきますが、早期で治療が行われれば後遺症は少なくて済むといいます。
硬膜と頭蓋骨の間にできる血腫は硬膜外血腫で、これも緩徐な症状の進行が普通といいます。