食道の上部も随意筋だとありますが、それはヒトにどのような利点をもたらすのですか。食べ物が詰まったときに吐き出すためですか。
という質問がありました。
食道の上部と咽頭の筋は骨格筋で迷走神経の枝によって支配されています。ものを飲み込む、というのは咽頭・喉頭・食道の多数の筋の協調によって達成されていて、これらの筋の多くが迷走神経(の骨格筋支配線維)によって支配されているのです。みなさんが「飲み込もう」と考えたときに食道の上部の筋は一緒に動いているというわけですね。
これらの協調運動は脳幹の迷走神経の運動中枢(疑核)と関連する神経回路によって生成されていますが、加齢によってこの協調性が低下してしまうと、ものを飲み込もうとしたときに気道の方に食べ物が入ってしまうことがあります。これを誤嚥といい、高齢者の肺炎の原因となっていて注意すべきものです。