富山大学 システム機能形態学研究室 Systems Function and Morphology Lab., University of Toyama

音を認知する神経回路の構造を研究しています。 We study the neuronal circuitry for sensing sounds.

【各論・循環器系】自律神経の組織学

交感神経線維と副交感神経線維は、組織学的形態に違いはあるのですか。

という質問がありました。

 節前線維、節後線維ともに末梢神経線維という意味で違いはありません。節前線維は細い有髄線維、節後線維は無髄線維からなります。 神経節、という点ではやや違いがあるようです。マウスの研究では、上頚神経節の節後ニューロンには樹状突起が発達している一方、顎下神経節の節後ニューロン樹状突起の発達は弱いようです。これは、神経節における神経回路の複雑さの程度に違いがあることに起因すると考えられます。交感神経節は標的臓器から遠く、多くの臓器を支配する一方、副交感神経節は標的臓器の壁に埋まっているものが多く、1つの臓器を支配するだけです。このことから、神経節に必要な情報処理の程度に違いがあるというのはありそうなことです(が、このような局所神経回路の情報処理について、中枢神経系と比べて研究は進んでいない印象があります)。