富山大学 システム機能形態学研究室 Systems Function and Morphology Lab., University of Toyama

音を認知する神経回路の構造を研究しています。 We study the neuronal circuitry for sensing sounds.

【総論・神経組織】 アセチルコリンの「矛盾?」する作用

アセチルコリンですが、筋肉に対しては筋収縮をさせ、細動脈を取り巻く筋肉に対しては筋弛緩をさせるということなのでしょうか?どこか矛盾を感じました。

という質問がありました。

同じ神経伝達物質が細胞ごとに異なる作用を示すことはよくあります。これは細胞によって異なる受容体が発現しているからです。
骨格筋に発現しているアセチルコリン受容体はニコチン型受容体で、これはイオンチャネル型受容体で陽イオンを通します。したがって受容体の活性化によって速やかに骨格筋は脱分極します。
平滑筋に発現しているアセチルコリン受容体はムスカリン型受容体で、これは代謝型受容体です。ムスカリン型受容体は5種類あって、細胞によって違う種類が発現しています。心臓血管系ではアセチルコリンカリウムイオンチャネルを開く働きを持っていて、その結果細胞は過分極し、弛緩します。一方、消化管や気管の平滑筋ではアセチルコリンは細胞内カルシウムイオン濃度を高め、細胞は収縮します。(実際はもっと複雑なのですが、詳細は生理学で学習します)