今回の講義資料で白血球の電子顕微鏡写真が示されているが、これらの写真では核が複数あるように見える
という質問がありました。
標本の見え方は試料の作成方法ごとに変わってきます。第1回の講義で述べたように、透過電子顕微鏡で観察するためには50nmほどの厚さの切片を作成する必要があります。白血球が15umほどの直径を持つとすると、1個の細胞あたり300枚の切片ができるわけで、白血球のような分葉核では核が複数に分かれる切片が出てくるというわけです。
一方、血球の観察でよく用いられる塗抹標本では、血球はスライドグラスの上にそのまま載っていますので、切片作成によって生じる解釈の問題はなくなります。