富山大学 システム機能形態学研究室 Systems Function and Morphology Lab., University of Toyama

音を認知する神経回路の構造を研究しています。 We study the neuronal circuitry for sensing sounds.

【総論・序論】組織標本観察時の、人工産物とそうでないものの区別

組織を観察する際に人工産物が入っている可能性があり、その見極めが重要であるとおっしゃっていましたが、具体的にはどのような人工産物があり、人工産物という見極めはつくものなのか、気になりました。 また、組織・病理標本の作り方の順序(固定、脱水透徹、包埋、薄切、染色)は、光学顕微鏡か電子顕微鏡に関わらず、おおよそ同じ手順という理解で正しいでしょうか。

という質問がありました。

1つ目の質問について:結局の所、すべての組織標本作成過程が「人工産物」を付加するものにほかならないのです。それが意図したもの(例:ヘマトキシリンで核や粗面小胞体を染める)ならOKで、意図したものでないならいまいち、ということです。意図せぬ人工産物の例として、ヒト由来の標本ではよく見られる、死後変化に伴う収縮があります。これがなぜ死後変化とわかるかというと、生きた動物から取り出した臓器を即座に液体窒素などで凍結して標本を作成するとこのようなものが見られないことが挙げられます。つまり、いくつかの異なる実験条件・染色法を用いて比較検討することで人工産物かそうでないかを判別することができるのです。私が「人工産物」と言った一言の中に多くの先人の業績が控えているのです…!
2つ目の質問について:上記で述べたように、標本作成方法は染色法によって結構違ったりします。