富山大学 システム機能形態学研究室 Systems Function and Morphology Lab., University of Toyama

音を認知する神経回路の構造を研究しています。 We study the neuronal circuitry for sensing sounds.

【総論・序論】組織学実習のスケッチの描き方についてのアドバイス

スケッチについてですが、細胞を見たままに描いた際、「輪郭を描くように」とコメントされました。これは画像では細胞の境界が細胞内の色と同じでもスケッチの時は(漫画のように)輪郭を濃い線で描くということですか。もしそうであれば、スケッチとは画像を見たままを描く訳ではないということですか。

という質問がありました。
組織学のスケッチは美術のデッサンとは違い、見たものをそのまま描くわけではないですが、漫画のような模式図を描くわけでもありません。
ではどうすればよいか:スケッチをする前に、スケッチ項目を完全に同定する必要があります。描くものが何であるか完全に把握してからそれを描くのです。
そうなると、例えば細胞が重なってしまっているなどして、細胞の輪郭が不明瞭なところは個々の細胞の形状の同定が困難ですから、スケッチの対象から除外されますし、細胞が歪んでいたり、死後変化が起こっているところも典型的ではない、ということでスケッチ対象から除外されます。
結果として、細胞などの輪郭が明瞭である場所(理想を言えば教科書の写真のようなもの)を探してきてそれを丹念にスケッチすれば、教員の要求する水準を満たすことになり、高評価が期待されます。
このため、実習時間では、最良の場所を探すのに十分に時間をかけてください。たくさん観察をして、構造を理解した上でそれを紙に写し取る作業をすることによって、組織学的構造が頭に残るのです。