富山大学 システム機能形態学研究室 Systems Function and Morphology Lab., University of Toyama

音を認知する神経回路の構造を研究しています。 We study the neuronal circuitry for sensing sounds.

【各論・内分泌系(2)】なぜ副腎皮質と髄質は近接する?

名前は似ているけれど、副腎髄質と副腎皮質の由来が全く別で紛らわしいと思ったし、なぜ同じ場所にあるのだろう?と思いました。

という質問がありました。

有羊膜類では副腎皮質と髄質は共通の被膜に包まれていますが、魚類や両生類では、これらは分離しています。ですが、基本的には後腹壁の似たような場所にあります。これは機能的な関連によるものと考えられます。 講義資料で示しているように、副腎皮質からでるホルモンが副腎髄質の機能に影響を与えています。このために血管系が共通しているのでしょう。副腎髄質が元は交感神経節であったことを考えると、副腎皮質によって制御を受けるのに適したように交感神経節の一部が変化した、と考えると整合的です。

では、なぜ副腎皮質はこのような場所(腎臓の近辺の後腹壁)にあるのでしょうか? これは発生学的なものです。副腎皮質と性腺の前駆細胞(生殖堤)は中腎を形成する中間中胚葉の一部から分離してできます。中腎の大半は退化しますが、一部は泌尿生殖器の導管として残ります。そして骨盤内にできた後腎が上昇して副腎の下部に収まります。 こうしてみると、泌尿生殖器と深い関係のある臓器であることがわかりますね。性腺のホルモンもステロイドホルモンであり、副腎皮質と性腺の細胞の性質がよく似ていることがわかります。